文字の定義

携帯電話の絵文字は文字なのか? - もじのなまえ」にインスパイアされて。


「ある図形」が文字であるか否か――
って難しい問題だと思う。


個人的に「文字」の定義を考えてみた。


文字の根源的な役割とは、コミュニケーションの道具、即ち自分以外の誰かにそれ(図形)を通じて何らかの意思を伝えることに他ならない。そしてその図形を通して意思の疎通を図るためには、その図形がある特定の意味を持っているという共通の認識を書く側、読む側双方が共有している必要がある。そういう「共通の認識」を最大公約数的に集めたものを総称して文化と言うのだと思う。情報処理用語で言えばロカールロケール)。


だから文字は特定の文化と結びつくことで初めて意味を持つ。特定の文化と結びついていない「文字」は文字ではなく「単なる図形、絵」としか認識されない(認識しようがない)。


私の考えた文字の定義。「特定の文化で意思の伝達のために用いられる図形」


大辞泉の定義「言葉を表記するために社会習慣として用いられる記号」が一番近いかな? 言葉(言語)というよりはもう少し広いレベルで捉えたほうがよいように思う。


ある文化圏で固有の文字は別の文化圏では文字として成立しない(認識されない)。
日本や中国など東アジア圏の文化になじみのない外国人に、何のコンテキストもない状態で漢字1文字だけを見せたら、それが文字なのかどうかもわからないだろう。単なる絵にしか見えないに違いない。
同様にほとんどの日本人にとってなじみのない南〜東南アジア圏の文字を単独で見せられたら文字だとは分からないと思う。新聞のようなコンテキストで見せられれば「文字なのかもしれない」「文字なんだろうな」と想像はつくかもしれないが。
(参考)世界の文字 Written characters of the world


携帯電話の絵文字もそういう意味では「文字」に分類していいと思う。「日本の携帯文化」圏で情報伝達の為に通用する図形といえるだろう。


ハートマークに見られるような問題は重要ではない。単にラングとパロールの対立に過ぎない。
個人によって、あるいは性別によって、また文脈によって意味がぶれたとしても文化圏内で広く共有できる意味が存在していれば文字としての一貫性は保証される。


むしろ問題は、色とかアニメーションという概念をどうするのか。ということなのかも。


なんか書いてて自分でもまとまらなくなってきた。
難しいなぁ。