書店委託、ネット公開という代替手段がある中での同人誌即売会の存在意義を考えてみた。
メリット
- 作り手と読み手の直接コミュニケーション
・直接会話できる(新刊の話から全く関係ない雑談まで)
・(読み手から作り手へ)差し入れやプレゼントができる
・(読み手が作り手に)スケッチブックやサインをお願いできる(最近は断るサークルも多いけど)
- 読み手の反応が直接見れる。
・例えば、手に取るかどうか
・立ち読みする時の表情、時間など。
- ジャンルの状況が一目できる。
・ジャンル人気
・他のサークルの状況(傾向、価格、売上、人気など)
・どんな読み手がいるか(性別、年齢、外見など)
- 隣近所との交流
・前後左右の隣スペースとの交流
・島レベルの交流とか
・ブロックノートとか
- 高揚感、一体感
・イベントに至る時間軸での高揚感(原稿や締切り、当日の準備など)
・イベント当日の祭状態の共有
・アフターイベント
・イベント後の打ち上げなど
- 達成感
- 一期一会
・興味がないジャンル違いの分野でも偶然出会える同人誌がある(これこそ一期一会!)
・ネットに繋がってないサークルは会場でしか出会えない。
- 収入(リアルマネー)が得られる
・あくまで副次的効果として。ただし大手中手でそこそこの売上があるところに限られるが…
デメリット
- 頒布対象者が限定される
・イベントに来た人にしか行き渡らない。発行部数によってはイベントに来た人にも全員には行き渡らない。
・ただし、その分稀少性が発生するというメリットとしての側面もある
- お金がかかる
・印刷代金
・サークル参加費
・交通費等
ネットで作品を公開する場合は、メリットとデメリットがだいたい逆転する。
現時点では「同人誌即売会」の方が差し引きのメリットが高いように思われる。
両方やる(即売会に出して、後でネットに上げる)は美味しいとこ取りのように思えるが、メリットの総和にはならない。(ネットに上がるのを待つ人が増えれば、それだけ即売会での購入者が減ることが考えられるため、上記のメリットが少しずつ目減りする)
即売会とネットの対比は、アナログ対デジタルであり、紙媒体と電子媒体の対比に良く似ていると思う。
電子媒体(例えば電子ペーパーや電子辞書)は情報量や検索性の面で紙媒体よりも優れているが、紙媒体のもつ「質感」を再現できないがために未だに普及には至っていない。例えば、退屈しのぎに辞書をパラパラめくってたまたま目に付いた単語を調べるようなことが電子媒体ではできない。
それと同じで、ネット上で公開されている情報は指定した単語での検索はできるけれども、新たな「発見」「出会い」はしにくいし、一覧のようにさっと見渡して気になるものを見るということが(少なくとも今の技術では)できない、もしくは非常に困難。
即売会というアナログな『場』では、五感をフルに使った体験をすることができる。これが現時点でネットがリアルな同人誌/即売会に及ばない一番の理由だろうな。
クオリア、ということでいいのかな。
*1:手に入れられなくても、まあ、それはそれで思い出