産地とは

散歩してて、小料理屋の看板で「天然鮎」というのが書いてあって、天然でない鮎とは何だろう、って気になっちゃったわけです。もちろんそれは人工鮎とかではなくて、考えるまでもなく養殖鮎のことを指すんだろうけど、「天然」てなんだろうなっていう素朴な疑問が到来したわけで。


天然由来成分とかっていうのもよくある優良誤認表示もどきで、じゃあ天然に由来しない成分ってなんだよ、試験管で分子レベルで合成でもしたのかよ、ってことになるわけで。


そんなことを考えてると、産地って何だろう?ってなるよね。
土壌に紐付くのか。
空気に紐付くのか。
水に紐付くのか。
血統や種子(遺伝子)に紐付くのか。


最近だと野菜生産工場とかもあるわけで、こうなると土壌関係ないし、クリーンルームで作ってるなら空気もあんまり関係ないし、水…はどうだか知らんけど、なんだかどこで作っても関係なくね?この場合産地表示ってどうなんの?という感じですね。


ついこの間も農産物に貼ってある「生産者の顔」が実は全国展開の会社の生産本部長だった、という話があった(「顔が見える食品。」、生産者表記を巡り議論 大手の責任者が複数産地で登場するのは… : J-CASTニュース)。ここでは、企業側はこんなことを言ってる。

セブン&アイ・ホールディングスの広報担当者は「玉木さんは各地のホクトの工場統括を行っている生産責任者です。土で作るような野菜と違い、エリンギやぶなしめじは(工場施設の)菌床栽培で育てています。そのため、生産者紹介には工場の代表者が最適だと考え、玉木さんを載せています」と話す。「生産者」には、玉木さんのような代表者も含めるという見解のようだ。なお、今後も玉木さんの表示を変更する予定はないという。
「顔が見える食品。」、生産者表記を巡り議論 大手の責任者が複数産地で登場するのは… : J-CASTニュース


もう生産者も関係ないし、産地も関係ないじゃん、という気がする。消費者が期待するものと乖離しているよね、というか完全に騙す気満々で来てるよね…という嫌な感じしかしないんだけど。


科学的な正しさと、日常的な需要に基づく要求との間で食い違いがあるというか、まあ、そんなに厳密に定義する必要があるのかどうかも怪しくて、単純に消費者が安心できれば究極的には産地とかどうでもいいんでしょうが…。○○産だからおいしい(に違いない)とか○○産だから安心(に違いない)というのを保証してほしい、ということだけなんですよね、たぶん。世間ではそれをブランドと言ったりするわけですが。